君の名は。自分用まとめ
すごいおもしろかった。ので自分用にまとめる事にした。他人が読んで面白いものではない。
結論
- なんというか、非常にゲーム的(特にタイムループ物)な物語
- この映画を楽しめるかどうかは、「こんな風になるものなの?」と疑問に思ってしまった部分が多いか少ないかによる
- あんまり深く考えないタイプの人は、そういうややっこしい部分をスルーする事ができるので、普通に観て面白く感じられると思う
- しかし、細かい部分が気になって考えたりしてしまうタイプの人は、何箇所か存在しているつまずきポイントで転びやすい
- このタイプの人は、二回以上観る事を前提とするか、もしくは事前にある程度のネタバレをみて、概要を把握してから見た方が楽しめると思う
以下、ネタバレありのまとめ。
よかったところ
- カタワレ時のあのシーン。自分的には、あそこの盛り上がりこそがクライマックス。その後の避難や再会のところもすごく良いんだけど、既にエピローグ的な感覚だった、自分的には。
つまづきポイント
Q&A方式で。
なんで突然、人格が入れ替わり始めたの?結局、最後まで理由がはっきりしないよね。組紐の力?
- とりあえず組紐と人格交換はあまり関係ないと考える。組紐については後述。
- ものすごく分かりづらいのだが、物語序盤から発生している一連の人格交換現象は、物語中盤ぐらいの時に瀧くんがアレを飲んだのが原因で起こり始めた、と考えられる。
- 瀧くん視点で普通に考えると、「飛騨旅行に行ったのが原因で、飛騨旅行に行くよりも前に謎現象が起こり始めた」っておかしいだろ!という風に思えてしまうのだが、(たとえ精神だけだとしても)時間遡行が可能であるという前提なら、そういう因果関係は普通に有り得る。そして、これは(精神だけだが)時間遡行が可能な物語であった。
- しかし、そうだと分かっていたとしてもすごく不自然に感じられる事なので(直感的な因果律に反している為)、敢えてあんまり明示しないようにしたんだと思う。不自然さに気付かなければ「そういう話だ」と割り切って見てられるので。
見ている最中の携帯から、三葉の書いた文章が少しずつ消えていくのっておかしくない?
- 電子機器の仕組み的にはとてもおかしい。のだが、「何かとてもヤバい事が起こっている」「人格交換現象(および、それに関連する時間遡行現象)の結果は、ゆっくりと適用されるのがこの世界でのルールだ」という事を明示的に示す為に、わざわざこのように目立つように表現したのだと思われる。後述の記憶の件も参照。
なんで記憶なくなるん?普通そんな急に記憶なくならへん?
- 二つの理由が考えられる。
- 一つは、「夢扱い」である為。
- 作中にて三人で御神体に行った(一回目)際に、おばあちゃんが中身瀧くんの三葉に「おや、あんた夢をみとるね?」と言っていた。この言葉通り、「入れ替わっている」最中は夢遊病的な状態であるなら、その最中の記憶は「夢の中での行動」と同じく、非常に記憶しづらい扱いになっているものと考えられる。
- 「夢の内容は非常に記憶しておきづらい」ものらしい。問題点は、その事を知らない/気にしない観客は普通にたくさんいるのでは?という点。
- 定期的に人格交換していた頃は、これが原因だと考えられる。
- 作中にて三人で御神体に行った(一回目)際に、おばあちゃんが中身瀧くんの三葉に「おや、あんた夢をみとるね?」と言っていた。この言葉通り、「入れ替わっている」最中は夢遊病的な状態であるなら、その最中の記憶は「夢の中での行動」と同じく、非常に記憶しづらい扱いになっているものと考えられる。
- もう一つは、携帯の文章が消えたのと同じ力が働いている為。
- 即座に記憶がなくなるのではなく、ゆっくりとなくなっていくのは、前述の携帯の件と非常に似ている。
- こちらは、カタワレ時の後の「どうしても憶えておきたいのに、記憶からなくなってしまう」方の原因だと考えられる。
- 一つは、「夢扱い」である為。
御神体の中で、同じような入れ物が二つあったけど、なんでどっちが三葉の方なのか分かったの?
- これも前述の話と同様に因果関係が逆で、あそこで瀧くんが三葉の方の入れ物を選んだが為に、この物語は三葉がヒロイン(入れ替わり対象)となったのだと考える。つまり、逆の方を選んでいたら四葉がヒロインになっていた。
- これは「もしそっちを選んだなら、そういう理屈になる」という話であって、新海監督が脚本をどう作ったかとかの話ではない。
- そして、観客は「三葉がヒロインになっている」序盤を既に見ている為、瀧くんはそれよりも先に、三葉の方の入れ物を既に選んでいた、という事になる。
キーアイテムになってた、あの組紐って何なの?あれが人格入れ替わり現象の原因じゃないの?すごいものなの?ちがうの?でも特にギミックとかはなさそうな感じだよね?普通に作ってたし。
- 人格交換現象の根本的な原因については前述の通りで、人格交換現象と組紐はあんまり関係ないと考える。
- 二人の「ムスビ」の象徴としてのキーアイテムなので、超重要なアイテムではあるけれど、それ自体がすごい力を持つ訳ではない(多分)。
- 注目すべきは、作中で唯一、物理的にタイムトラベルしている物体であるという点。
- 改変後の世界は「神社の巫女が謎の予言で町を救った数年後に、東京の少年が突然飛騨の山奥に行きそこの遺跡の中で密封されていた謎の液体を飲んでぶっ倒れて記憶障害を起こしてしばらくフラフラした後に東京に帰った」、つまり全ては瀧くんの妄想であった、という形の解釈ができなくもないのだが、その場合でもこの組紐だけは二重に存在する(つまりタイムトラベルしている)為、「過去の改変が行われた」証拠となっている。詳細は後述。
- 注目すべきは、作中で唯一、物理的にタイムトラベルしている物体であるという点。
過去の改変が行われた証拠って?
- 出来事を客観的に書いた時系列を示す。多分ぐぐったら他の人の作った図とか既にありそうだが…。
- 祭りの一ヶ月前、三葉の身に人格交換現象が起こり始める
- 祭りの二日前、三葉が御神体に酒を供える
- 祭りの一日前、三葉は東京へ日帰り旅行する。組紐を瀧に渡す。髪も切る
- 祭りの当日、瀧入り三葉が目覚める
- 改変前は、ここで通常の三葉が目覚め、そのまま祭りを迎えてしまう。その後の(5)~(8)は行われずに(9)へと進む
- 瀧入り三葉、テッシー達に彗星の話をする。テッシー達準備を進める
- 瀧入り三葉、御神体のあるエリアへ
- カタワレ時。未来の瀧から三葉へと組紐が渡される
- 三葉たちは避難を成功させ、その後東京に引っ越す
- 数年後、瀧の身に人格交換現象が起こり始める
- . 瀧の人格交換現象が起こらなくなる
- . 瀧、飛騨へ行き御神体の酒を飲み、ぶっ倒れる
- . 三葉入り瀧が目覚め、御神体の周囲の丘へ
- . カタワレ時。瀧から過去の三葉へと組紐が渡される
- . 瀧、東京に帰る
- . 数年後に再会
- (11)をトリガーとして、(4)から世界がやり直された(もしくは「世界線の新しい分岐ができた」と表現してもよい)、という事になる。やり直しポイントは(4)なので、その直前の(3)での「組紐を瀧に渡す」事は改変できない。よって、カタワレ時に組紐がタイムトラベル(13→7)しない限り、(8)の三葉が組紐を持つ事はできない(この三葉は組紐をほむリボン風に付けている事が明示されている)。よって、「全ては瀧くんの妄想だった」という解釈が否定される。
- ちなみに、過去改変は上記とは別に一度行われている可能性がある。具体的には、作中で明示されていない「改変前の世界」が存在し、その世界での明示されていない何かをトリガーとして、(1)から世界がやり直されたケースとなる。こちらの場合は人格交換現象の原因は「単なる未来の出来事」ではなく「改変前の世界の出来事」(ちょうど上記の(11)のように)となるので、因果関係はより分かりやすくなる。
- ただ、この改変があった場合でもその後に上記の改変が結局起こるので、最終的な世界での組紐問題は残り、結論は同じ事になる。
- ちなみに、過去改変は上記とは別に一度行われている可能性がある。具体的には、作中で明示されていない「改変前の世界」が存在し、その世界での明示されていない何かをトリガーとして、(1)から世界がやり直されたケースとなる。こちらの場合は人格交換現象の原因は「単なる未来の出来事」ではなく「改変前の世界の出来事」(ちょうど上記の(11)のように)となるので、因果関係はより分かりやすくなる。
- もしかすると、自分の記憶違いで、実際の映画では(2)と(3)の順序が逆だった可能性もある?この順序だったと思うのだが…。
定期的な入れ替わり現象がどうして急に止まったの?
- 瀧くん視点からだと原因は分からないが、過去改変前の三葉視点で考えれば、祭りの日以降は起こらなくなる事が明白。
- 「定期的な入れ替わり現象」が起こっている間は、瀧くん側と三葉側の時間の流れは同期している(そうじゃないと、どちらか片方に意識が空白の期間ができてしまう)。ただしイレギュラーが二回ある。
- 一回目は、最初に三人で御神体に行った時。ここでは突然入れ替わりが解除されてしまう。その際の時間関係等も不明(三葉側のその後の様子が明示されてない上、以降は入れ替わり現象が途絶える)
- うろおぼえだが、御神体に行ったのは昼なのに、瀧くん側は夜(もしくは早朝)に目覚めており、かなり時間差がある。
- どうして突然解除されたのかは明示されてないが、「おばあちゃんが夢遊状態の三葉を起こしたから」か「御神体のある『あの世』エリアに入った影響」のどちらかだと思われる。
- 二回目は、瀧くんが御神体でアレを飲んだ時。こちらはあの祭りの日へと行けないと全く意味がなくなる。
- とりあえず、どちらのイレギュラーも御神体付近で起こっているという事になる。
- 一回目は、最初に三人で御神体に行った時。ここでは突然入れ替わりが解除されてしまう。その際の時間関係等も不明(三葉側のその後の様子が明示されてない上、以降は入れ替わり現象が途絶える)
- 「定期的な入れ替わり現象」が起こっている間は、瀧くん側と三葉側の時間の流れは同期している(そうじゃないと、どちらか片方に意識が空白の期間ができてしまう)。ただしイレギュラーが二回ある。
なんでテッシーは、彗星の話をあっさりと信じて行動したの?普通疑わない?
- 明示されなかった設定等によるものかもしれないが、もっと単純に、好きな女の子が突拍子もない事を言い始めたら男はそれに従うしかない、という事なのだと解釈した。
- なお、奥寺先輩が好きだったのが中身三葉の瀧くんだったように、テッシーが好きなのは中身瀧くんの三葉だったのでは、とも思う。
- 三葉は神社の巫女であり、巫女が神降ろしみたいな事をやると知っていれば、オカルトっぽい事が好きな男であれば、話に結構あっさり乗ると思う。
御神体って何なの?ただの岩の祭壇じゃないの?なんでそんなので時間遡行できるの?
- 作中にある通り、素性は失われているとの事。明示されていない為、あまり追っても仕方のない部分。
- 作中で示されている部分だけで考えると「巫女が自身の半身(の扱いとなる酒)を供える場所」「酒を飲むと巫女と人格入れ替わりができる?」「カタワレ時に過去の人間と交流できる?」という事になり、これを「過去の(死んだ?)人間と交流する事ができる場所」と解釈すれば、おばあちゃん曰く「ここから先はあの世」という事になる。
- なんでこれが問題になるのかというと、メタ的な話になってしまうが、「『二人の人格の入れ替わる映画』を観に来てた筈なのに、なぜか『タイムループ物の映画』を見させられている!」という不満がある為。『二人の人格の入れ替わる映画』を観にきているので、「二人の人格が入れ替わる」という点に疑問は持つ事はあまりない。が、別に『タイムループ物の映画』を観にきた訳じゃないので、どうしても「なんでここで時間遡行が出てくるの?どうしてそんな事できるの?」という感覚を持ってしまいがち。
- この不満を解決するには、当初から「違う時間の二人が入れ替わってるよ」というのを(可能なら映画を観る前に)示しておくべきだったと考える。
- 自分が「ある程度のネタバレを事前に見ておいた方がよい」と考えるのは、これが理由。
- これが、この映画の一番の不満点。逆に言えばここ以外はほぼ満足。おもしろかったです。
- この不満を解決するには、当初から「違う時間の二人が入れ替わってるよ」というのを(可能なら映画を観る前に)示しておくべきだったと考える。